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6度目の製図挑戦

「6度目の製図挑戦」  omote

この度、6度目の製図受験で合格した63歳のシニアのomoteです。最端さんにお世話になり4年になりました。本当にありがとうございました。拙い体験談ですが私も先輩の体験談からヒントや勇気をいただきましたので、どなたかの役に少しでもたてたらと思いペンを取りました。

 

実は私は40年ほど前に少しだけ建築事務所で働いていました。トレース作業が多かったと思います。当時はもちろん紙と鉛筆です。その後転職して建築業界とはまったく違う仕事に就いて今に至っています。定年を意識する50代後半になり、急にまた建築の仕事に関わりたいという思いが沸いてきました。悔いを残したくないと思い一念発起し試験に挑み初めました。

 

ここからは具体的な試験取組みについて、お話したいと思います。

学科の初めの年は、受験申込みからあまり間がなく市販テキストで勉強しましたが、もちろん不合格でした。

翌年は、時間をかけてやはり市販テキストで勉強して、なんとか合格しました。

 

製図試験も同じノリで市販のNテキストだけで勉強しました。付属の数枚の課題を、テキスト解説だけみて作図練習しましたが、本試験では無理矢理作図したものの、ミスが大小限りなくあり、終了時点で不合格だろうと思いました。しかし、本試験の独特の雰囲気の中で無理矢理でも、ある程度かたちにすることが出来たことが、もう少しで惜しかったと勘違いしたようでした。ランクⅢでした。

 

翌2度目の製図はRCでした。また市販テキストを今度はNとS両方購入して勉強しました。エスキスに3時間くらいかかっていました。テキストだけの勉強の無謀さが、まだ理解できていませんでした。終了間際まで震える手で描いていましたが、書き込みも不足でミスだらけで結果はランクⅣでした。

 

実は、試験前にどちらもN模試を受けていました。エスキスに時間かかり未完成の失格状態でした。通学をすすめられましたが、時間や金銭面もありましたが、なぜか独学にこだわりたい気持ちがありました。

 

いよいよ次は3度目の角番でさすがにこれではまずいと感じ、妻のすすめもありネットで探して、体験談等を読みリーズナブルなこともあり最端さんで勉強することにしました。しかし、この年は事情があり後半戦の実質1月半ほどの期間しかありませんでした。

 

解題を読み、なるほどと初めて目からうろこでした。課題の提出のみに追われてしまい本試験では、初めてまともに描けたと思いましたがチェック時間が取れませんでした。小さいミスも多くあり決定的なミスもありました。ランクⅢでした。

 

さすがに来年また学科からかと思うと目の前が暗くなりました。皆さんの合格報告を見ながらうらやましく思いました。不合格の人達への神無先生の謙虚な返答を読みながら自分も慰められました。

 

再現図が届き、皆さんの図面を見ましたが当初はあまり違いが解りませんでした。ただ体験談を読みながら、苦労して合格したんだなと感じ、また自分と同世代の人達も頑張っているんだと感じてまた来年も挑戦してみようという気持ちになりました。

 

翌年学科はまた市販テキストのN過去問題集で勉強しましたが、法規はまた新たに線引きからで手間取り学科修了まで製図はまったく勉強できませんでした。ここは反省点で製図も少しずつ練習しておくべきだったと感じました。

 

4度目の製図も後半戦から行いました。エスキスの考え方は解題で解かってきてほぼ60分でまとめられるようになってきましたが、作図に時間がかかっていました。チェックが重要とは頭では理解しているつもりでしたが、その時間がなかなか作り出せずにいました。あっという間に本試験がやってきました。受ける前はなんとかなると思っていましたが、先生の言われたように練習で出来ないことは本番でも出来ませんでした。チェック時間取れずにミスで自滅でした。この時点でもまだ、自己分析がよく出来ていませんでした。もうちょっとで惜しかったと思っていたのです。

 

翌年5度目はRCでした。なぜか前回RCのトラウマか苦手意識がありました。

初めて前半から受けました。RC構造は手こずりましたが、前半からの製図勉強は今までの自己流の製図方法を少し見直すきっかけになりました。昔仕事で図面を描いていた時のクセが知らず知らずに出ていたのです。線のきれいさや見栄えに気をつかい過ぎ、時間を取られていることが自覚できてきました。採点上はその点はほぼ評価と関係ないという先生のご指摘がやっと分かってきました。

 

しかし頭で理解することと手が勝手に動くことの矛盾がありました。さすがに今年絶対決めるという思いが強くありました。課題をこなしながら、添削で指摘を受けた部分のチェックリストもつくり練習をすすめました。本試験前のN模試でもほぼ大丈夫でしょうとの事でした。

この模試で初めて最端の仲間が居ました。採点を待つ間に学院生以外の人と話すと何と最端生でした。Yさんその後どうされていますか?

 

しかし結果は無残にも不合格でした。問題文を深読みしすぎて悩んだ末に階段を2つ設けてしまいましたが、それで時間が取られ結果チェック時間が5分ほどになりミスを重ねました。さすがにまた落ち込みましたが、先生の「結果を楽しみに待ちましょう」という書き込みに、何故か根拠はありませんでしたが、そうしようと思えました。結果はやはりランクⅢでした。

 

ここで、この悔しさの中で自分の問題点や課題を見直してみようと思いました。そのためには、合格者の図面をもっとしっかり見て学ぼうと考えました。再現図の体験談もよく読んで見ました。再現図の合格図面を製本して日々見直しているという体験談があり、真似をしました。HPの体験談も見直してみると参考になることが多々ありました。特に同世代の方の話は励みにもなりました。修行のように図面を毎日ノルマとして描いたカツゾウさんの文は印刷してファイルし何度も読みました。

そこで自分が今年描いた図面の数を数えると20枚ほどでした。では来年は倍の40枚は最低でも描こうと決めました。課題の問題と添削図面や参考図は縮小してA4ファイルにして何度も見返すようにしました。

 

こうして翌年6度目の挑戦が始まりました。前半課題の始めの方でやはりミスが多い図面の添削に先生から「詰めがあまい」というご指摘を受けました。グサッときましたが、その通りだなと改めて思いました。ではこのミスを無くすにはどうするか?

 

チェック時間の確保が最低20分必要で出来たら30分目指そうという方向性が見えました。当たり前の事だったのですが、実感として感じました。そのため作図時間のチェックに平面図、断面、伏図等のそれぞれの部分ごとの時間を記入する表を提出課題だけでなく全ての練習作図図面で記入するようにしました。そこにはグラフも付けて作図時間状況をわかりやすくしました。すると平面図だけでなく矩計が時間オーバー気味の傾向があるなどの課題が見えてきました。日々の練習が何のためのものか、考えながら描くということも体験談の中にあり学びました。少しずつ手応えを感じながら勉強をすすめましたが、練習時間の確保が最大課題でしたが、これには妻の協力によりできるようになりました。

 

さらに、過去問を学ぶことは重要と先生の書き込みがあり、過去問題は平成15年から前年までを、問題と解答例をA4ファイルして一通り取り組みました。解答例はネットや過去の対策本から集めました。時々見返すようにもしました。

 

練習ではほぼ予定通りのエスキス60分で作図に入りチェック最低20分確保ができるようになりました。自信らしきものも芽生えてきて、いよいよ本試験当日を迎えました。

 

本試験当日は、皆さんも木で苦労されたと思いますが、実は始めその怖さを理解していませんでした。その位置も確認したはずでしたが、エスキスを練っているうちにいつの間にかその存在が頭から消えていました。60分エスキス終了時間となり、作図に入り始めた時に初めて、完全にプランにかぶっている事が分かりました。

 

エスキスやり直しかと冷や汗が流れるなかで、何度も教えられた”作図完成が最優先”という教えがよみがえり、エスキスやり直しでは自分の作図スピードではチェック時間が取れない!作図に入るしかない。プランを見ると東西反転させれば、何とか木を避けられそうだととっさに判断しました。その反転エスキスで作図に入りました。さすがにこんな練習はしていないけど、やるしか合格の可能性が無くなると思ってすすめました。

 

平面図がほぼ完成に近いところで練習で把握している時間進捗とそれほど遅れていない事確認して、何とか完成出来そうだと少し落ち着きました。後は練習通りに伏図・断面図と描いていき予定通り、20分のチェック時間が確保できました。チェックでは細かい抜けが多々見つかり埋めていきました。ほぼ大丈夫と確認して終了の合図がありました。そのとたんに問題の木が2階バルコニーの端にかかってることを発見しました。一気に血の気が引きました。その時点で今年もだめか!と思いました。

以上が試験勉強と当日の全てです。

来年のための学科勉強を始めていました。もちろんひどく落ち込んでいました。試験当日終了時点では目の前が真っ暗で何も考えられない状態でした。なぜ合格に至ったのか、今年と前年までの答案図面の何か違うのか?私には解らないというのが正直なところです。ただ、試験対策のために教えられた通りに練習を行い、今年が今までで一番身に付ける事ができたという事だけは言えると思いました。

 

この体験談が、これからの方に少しでも参考になればうれしいです。本当にありがとうございました。