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50歳からの挑戦のその備忘録 ハンドルネーム GW

「50歳からの挑戦のその備忘録」 ハンドルネーム GW

資格を取るための行動履歴を後から見返すための備忘録として以下の流れで記録を残します。

1ー建築士を目指した動機
2ー学科勉強
3ー製図勉強
4ー製図試験日
5ー忘れないこと

1ー建築士を目指した動機
2022年、50歳となり、仕事関係上、設計士や工務店の人たちとの共通言語を持って、もっと深く理解したいという気持ちがなんとなく高まっていた時期でした。
巷ではリスキリングの必要性、テレビドラマでドラゴン桜、身内では姪が大学に入学したことなど、勝手に刺激を受ける環境に恵まれたと気持ちが盛り上がっていきます。

この時4月、試験申し込みが終了しており、そもそも7月の学科試験なので、どう考えても来年2023年の学科試験を受ける計画を立てることになります。
そして建築士を目指すことを妻に告げるのは、決意表明と生活スタイルの変更のため必要でしたが、これから2年半もやきもきした状態が続くとはこの時は当然想像すらしていませんでした。

2ー学科勉強
購入したもの
はじめの一歩 厳選問題集500+100 総合資格法令集
横書き罫線付きノート4冊(4科目分) 手のひらサイズのリングメモ帳4冊(4科目分)

まず試験の概要をネットで検索
良いと感じた kenchiku-shiken.com という、分野別に過去問が整理され、解答と説明が明快なサイト。
過去問を解きまくることが合格への近道であるとして、お勧め書籍が列記。
そこで神無先生の 「はじめの一歩」 と 資格学校の 「厳選問題集500+100」、 法令集 を選びスタート。
後にも先にも、学科勉強用に購入した書籍はこれだけ。

横書き罫線のみのノートを学科の科目分4冊購入
過去問500問を毎日各科目5~10問ずつ解き、1回目の通しで各問全てノートに要点まとめ。後から見返して追記できるスペースを片面に設けるなど。2回目以降は解答のみで間違えていたところはそのまとめノートを見直す。

500問を結果4周。最終仕上げで、残り100問(前年の本試験問題)を時間設定して単独模試。
それ以降は既出のサイトにて過去10〜12年の本試験問題を解いていく。
※法令が変わるので過去問法規は注意。
科目全般暗記がある程度基本だが、特に計画と施工は、暗記メインとなるので、隙間時間でスマホの2級建築士問題アプリを活用。
リングメモ帳は科目別にちょこちょこと書き出して暗記用。
今日はこの科目、と毎日ポケットに入れて出勤。

法規はまず、条文の読み方ルールを知ること。それから過去問に取り組み、設問で問われていることは法令集の何条になるか、問題枝を潰していく作業は、素早く引けるかの勝負なので、問題文からある程度のあたりをつけられるようにする。
※ある建築士受験応援サイト(itsunaru.comさん)に書いていたのが、読んだ条文のページをクシャクシャと、破れない程度に握りつぶしてシワをつけると、法令集がフワフワになり、めくりやすく馴染んでくるというのがあり自分に馴染んだ感覚に。※破れた場合、セロテープ処理。
こちらのサイトは息抜き兼ねて、法規と構造は特に参考にしました。

学科模試は資格学校主催の本試験直前に1回受験、ここで衝撃の事実が。時間配分は計画と法規がひとまとめで3時間という制限だったのです。ここが独学人の怖いもの知らずなところで、私は各科目ごとに1時間30分の枠と思い込んでいて、法規の問題も90分以内で解く練習をしていました。いつも計画は時間が有り余る感じではあったので、法規に時間かけられる!これは模試での大収穫。
7月2日本試験はなかなかの高得点で自己採点が終わり、独学で学科が通ったぞと安心もつかの間、
ハッと気付きます。今から製図の勉強どうする?

3ー製図勉強
購入したもの(製図道具以外)
2023年木造受験時  エスキースコードのみ
2024年RC受験時  動画で学ぶ合格図面の製図法  製図用紙(最初に10枚+最終課題のころに10枚)
A4サイズ5ミリ方眼メモ帳3冊 市販の資格学校の5課題付き設計製図課題集

2023年7月
資格学校は週1回~2回を2ヶ月通いで受講料も高額、悶々として3~4日経過、学校は自分にはフィットしないと見切りをつけ、ネットで他の勉強法を検索。
最端製図という通信講座という手段を見つけ、運営が神無先生だと気付き、これだっ、即後半戦講座を申し込み。

この年は木造で専用住宅課題、急ぎエスキースコード、伏図攻略テキストも読み、エスキースも構造も伏図もなんとなくわかったような?
毎回の総合判定はCかDで、最終の課題も55点でしたが、それでもまだ自分の現在地がよくわからず。
本試験は火事場の力で時間内に図面完成するが、チェック時間も約5分、終了後の答案回収中、平面立面に対して伏図の屋根の流れの不整合に気付き(それ以外もダメだったが)
案の定ランク3で不合格。

振り返れば、この時の講座での取り組み方は、メールで質問もせず、掲示板のスレッドを見るだけで理解しようとして、積極的ではなく、手応えのないままの受験となりました。
翌年の掲示板に参加して思うことは、必須ということではありませんが、掲示板での質問や疑問の解決は、たとえ試験中でも必ず思い出せますし、不安なところはメールでも質問してひとつずつ解消すべきでした。

2023年12月末
サイトの先生のブログを拝見。
「来年のRC造か、再来年の木造か」
読んでは見たが、RCなんて全く無理、エスキースコードのRCのページを見ても、難しそう。
年が明け、仕事で心も紛れ、3月くらいに、ふとブログのことが蘇る。
読み返すと、「RCの方が木造よりエスキースがやりやすい」と。
そもそもこの設計士の試験で要求される製図の基本、つまり自分には基本の型が備わっておらず、施主の要求につい身構えてしまい、時間を見ながらのエスキースに焦り、解答例や他の方々のプラン図面となんとも似つかない、ピント外れの図面になりそれが木造の伏図をより難しくする、負のループに。

「プランは一つとして同じものは無い」という試験後には良い呪文のように唱えて勇気が持てるが、それはルールや型を知って持っていないと、見当違いになる。

2024年3月
時が経つほど、一度乗り掛かった船だし、挑戦しなかったら絶対後悔する、もう一度挑戦しようと心を決める。
まずはエスキース力だ、ネットで見つけた解答例付きの製図問題、センターの過去問を利用。
木造をメインにエスキースのみトレーニング開始。
このエスキースに費やした時間は度胸をつける良い自主練習となる。
この時に購入したのはA4サイズの5ミリ方眼紙のメモ帳で、木造エスキース時には4.55ミリに思い込み使用し、RCエスキース用、断面図、部分詳細図練習用、計画の要点まとめ集として使用。
昼休み休憩時にこの方眼メモ帳をフル活用。本試験直前までに3冊目に突入しており手元に置いて線を引いたりスケッチしたりのお守り。

RCについては神無先生の「動画で学ぶ合格図面の製図法」と製図用紙を購入して4月から独学スタートし、後半戦講座が始まるまでに作図法はある程度叩き込んで予習。

6月末から講座申し込み、今年で決着をつけてくださいとメールを頂き、はい決着つけます という決意表明からスタート。以降不明点疑問点は質問し、全課題を本試験という気持ちで。

課題をアレンジして接道位置を変えた場合などでのエスキース練習を5ミリ方眼メモ帳で。
プランニングも不安ながらも順調!?苦手意識を排除していたが、ついに第3課題の時、エスキースに手間取る。
部屋数に圧倒、ぎこちない間取りになりながら完成させることの方が大事だと言い聞かせつつ提出。添削してもらい、先生や他の方の良いシンプルな解答例に、エスキース力の不安定さが露呈したなと思いつつも、その後見た、第3課題の解説動画と解題で、目から鱗の、気持ちの天地がひっくり返ることになる。
それは 

・廊下を意識する ・保険プラン:考えずにとにかく置いてみる

ということ。
衝撃が走る!
そうか!廊下は施設の中の背骨のような大動脈のようなものだから、シンプルで歩きやすいはず!
吹き抜けも廊下と無縁では無いはず!
最終の第4課題、それをクリアしてからの練習問題ABCDに向けて気持ちを整理しもう一度自分の型を見直す。
全ての課題、問題を何度も解き解題も読み込み。
市販の設計製図課題集5課題を模試がわりに本試験10日前にスタート、なんとなく違う施主のニュアンスにも対応。
市販課題で疑問に思ったことにも、掲示板で質問して、すぐに回答いただき視野が広がりました。

以下当たり前なところも多々ありますが自分が作ったエスキースする際の型です。

1ー まず!問題を、主条件をよく読む、それから全てを読む
2ー 敷地から建物地型、アプローチ、外構の大枠を決める(可能最大面積でまずは計画し面積計算も出す)ただし確定せず可能なら2案程度)
3ー 機能図(ただし自分はマストではありませんでしたが、要求室が多く、動線が混線する時は必要かも)※部屋を置く前に少し各階の要求室の数次第では廊下を意識してみる
4ー ある程度の規則はあるがとにかく要求室を置いてみる この時言い聞かせたのは名付けて
Don’t think、Put!「考えるな、置け」実はこの命名時、put か placeか setか悩んだ末、あまり考えずに置くいうことでput
5ー 微調整 配置した全体図を俯瞰で見て、柱スパンとかもう1マス増やすとかの検討
ここまでで保険プランはできるようになるはずですが、以上でもすっきりしない状況の時だけ、項目6へ
6ー 妥協ポイントをターニングポイントに、気持ちを切り替えて完成させる方向へシフト

4ー製図試験日
試験会場については 最端製図サイト内 会場の様子 を拝見していたので、100円ショップで滑り止めマットを購入、会場の事務机と平行板の滑り止めに。あと、ウェットティッシュを使って良いか尋ね、ボックスをチェックされて許可もらいます。

問題用紙配布 机に置かれたが反転して透けて見えるのを 開始時間までに凝視して 東側道路だ!
階数は、2階だ! 神無先生が今年の問題予想を出版社のサイトで2階建かも と言われていたな
すごい、
ということは 勾配屋根か!?道路斜線?記憶は大丈夫か?。

開始 勾配屋根ではないことは早々に確認し、設計主条件から要望を丁寧に見ていく。
1階からまず要求室を置いていこう 一体利用が多いから廊下をあまり考えず Don’t think、Put! 考えるな、置け!
でラフ配置が済み、続いて2階、
ここで 廊下を意識する! 部屋数が多いから廊下を軸に考える
しかし1階通用口の存在がなんとなく気になる 喫茶店併用住宅とかコミュニティ施設とか過去問が蘇る
今ひとつ通用口の位置が馴染まない。
そろそろ時計を見てみると 11時40分 自分のエスキースの最大持ち時間は90分。
出来つつあるプランに対し悪くはないと思うが別案を進めよう。保険プランは残しつつ持ち時間まで精一杯。
周囲の雰囲気から、なんとなく皆エスキースに時間かけているし、このままだとチェック時間不足に。
別案がすっきりせず、ついに保険プランのブラッシュアップで作図に入ろうと決心、1時間20分後作図に取り掛かる。
保険プランというのは人それぞれが感じるところで、自分の中で妥協点を見定め作るプラン。
自分の保険プランで妥協したのはズバリ、東側道路に対しての通用口を真裏の西面に設けたこと。
これは自分が納得いかない唯一の配置。北側とかにできるはず、と。がそれでは全体配置がうまくいかず、ここを妥協ポイントに。
そもそも気になる西側通用口だけど、その点以外、全てが収まっていたからです。
ここを決心できないと、最終チェックが絶対に出来ない。
一通り描き上げ30分ほどのチェックタイム
柱位置、各図整合性、立面図での窓の位置(これをよくミスっていたので)再チェック、やはり位置がずれていた!
問題用紙はチェックリスト! もう一度設計主条件からチェック 全ての行の左にチェックマークを入れ2回目にはバツマーク。
3回目は横線で消す。
16時、時間となり、頂いた刷毛で図面を払って、去年とは違い描ききった図面が回収されていくのを見届けました。

5ー忘れないこと
9月15日以来、毎日毎日、自信と不安が交互に巡ってくるが、自分を信じて結果を待とう!
でも、たまに襲ってくるとてつもない不安感、ランク2とかでギリギリアウトだったらかなり悔しい。
発表当日、11時になる前くらいに、受験者数とか合格率を見てみようとセンターにアクセスすると、
製図の合格率が50%いっていない!一旦落ち着いてコーヒー飲んで気持ちをリセット、もう決まっているのだからとついに腹をくくり、名簿の中の自分の番号を見つけました。

製図試験は2度受け、52歳になり合格となりましたが、この経験は結果として木造もRCも基礎を知ることが出来たのだとプラスに考えています。
妻のフォローが無ければ絶対に不可能なことでした。一番最初に良い報告をしたいと願い喜んでくれてホッとしています。

50歳からの挑戦となりましたが、
この勉強をしてつくづく感じたことは、設計をするということは相手の気持ちにどれだけ寄り添えるかということです。
支えてくれたいろいろな人に感謝することを、忘れず、肝に命じて新たな境地を切り開いていきたいと思います。
また、基本に立ち返る時、講座の資料とこの記録を忘れずに読み返そうと思います。

勝手ながら備忘録として残したいと思い、この場をいただき最端製図様に感謝いたします。
先生皆様方、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
また今後も何かしら目標を立ててそこに向かっていきたいと考えています。