「合格体験談」 たなか
みなさま初めまして。たなかと申します。
設計士事務所勤務で、設計の他に建築定期点検などの保全調査業務も行っています。
この度、2度目となる受験で二級建築士試験に合格出来ました。
最端製図さんや今後の受験される方にとって少しでも助けになればいいと思って、
合格体験談を書こうと思います。
●1年目
初受験となるこの年、学科の勉強を始めたのは願書を出してからでした。
勉強は独学で、過去何年か分の試験問題を解くというもの。
元々工業高校出身で資格試験もそれなりに合格していたので、正直なところ学科は受かるだろうと思っていました。
そんな私が学科クラブに申し込んだのは後の添削講座に割引が発生すると知ったからでしたが、
市販の解説本よりよっぽどわかりやすく、今となっては申し込んで良かったと思っています。
学科試験を終え、自己採点で合格ラインを超えていたので後半戦に申し込みました。
最端製図さんを受講しようと思ったのは、やはり金額的な面が大きかったと思います。
休みの日は送られてくる課題をこなし、合間の時間に解題を読み、
シンクロ模試の結果も悪くなかったので、初年度合格できるかもと調子に乗っていたのです。
相対試験で約半分が合格するということは当然残り半分は不合格になるというのに…
その年はRC課題で、当時の私は木造じゃなくて良かったと思っていました。
仕事で木造なんか扱わないし、床伏図も矩計も無理無理と。
もしかしたら課題が木造だった方が、苦手意識のある分もっと真摯だったかもしれません。
そして迎えた試験当日。
出会い頭、共通部分に肝は抜かれたものの割と冷静に作業できていたと思います。
でも、順調だと思っていると最後まで気付かないものですよね。
チェックを終え、まだ時間残ってるわーと余裕をぶっこいている私は深刻な事態に気付きました。
断面図の切断方向が違っていたのです。
何で気付かなかったのよ、断面図が1スパンってことに何で疑問を持たなかった私!
やばい。ちょっと待ってやばい。残り時間は30分。どうする。
迷ってる時間が勿体無いと、半ばパニック状態で書き直しを始めました。
極限状態になると手足が震えるって本当ですね。ペン先がぶるぶるしてました。
正直、この辺りの記憶は残ってないです。
結果は当然不合格。失格ではなかったので、減点の積み重ね以外にも何か大きいミスがあったんだろうなと。
再現図を書く気にもなれませんでしたので真相は闇の中です。
合格は完全にないと思っていたので、そこまで落ち込むこともありませんでしたが、
不合格の報告を下さったのが、試験当日に受験番号と引き換えに資料を頂いた大手資格学校の方だったのが今でも釈然としていません。
合否が判明し、早々に前半戦を申し込むと神無先生からお返事が。
「この度は私の力が及ばず申し訳ございません。(中略)来年は絶対に合格して頂きますよ」
…このようなお言葉を頂いて、何が何でも合格しようと思いましたね。
●2年目
2年目は前半戦から参戦。
木造を勉強するのは学生時代振りということもあり、当初は本当にちんぷんかんぷんで。
面積が足りない、梁の掛け方がわからない、部材の名前が覚えられない、矩計が書けない。
RCと勝手は違うし図面は真っ赤だしで、挫けそうになる度に今年落ちたら次を受ける気力はないと自分を叱咤していました。
指摘を受けた部分を改善し、模範解答を紙に起こし…
前半戦から参加したことで時間に余裕があり、繰り返し問題を解いていました。
すると不思議なことに段々と赤ペンの量が減り始め、そこで漸く気付いたのです。
受けた指摘を見易く表に纏めるより、一つの課題を丹念に解く方が何百倍も身になるということに。
不思議でもなんでもありません、当たり前のことですよね。
思い返せば、添削で指摘された部分をExcelにまとめ、原因と改善策を表にしていた去年。
しかし同じ課題を何度も何度も繰り返したことは数えるほどしかなかったのです。
せいぜい指摘を反映したプランを纏めるだけ。
なんて勿体無い問題の解き方なんでしょうか。
それに加え、先生方が口を酸っぱくして繰り返すチェックの重要性。
これに気付いたのも2年目でした。本当に1年間何をしていたのか…
最初の読込は少なくとも2回、わかりにくいと思ったら3回読むようにし、
エスキス途中、エスキス後、平面図作図後と、時間の許す限り合間にチェックバックを挟み、
作図後のチェックは特に念入りに。
課題で大丈夫と思っていても、本番は幾つもチェックミスが出てくる。
絶対に大丈夫だと思っていても、緊張して焦ってパニックという悪循環に陥る可能性はゼロではない。
むしろ高い。
去年の試験で身に染みた私は、チェック技能を高めることを心掛けるようにしました。
メンバーズサイトの掲示板に書き込んだことはなかったです。
訊きたいことがないのではなく、色んな方が利用されていて既に回答があったからです。
自分がわかってなかったと気付いていないこともたくさんあって、見ているだけで大変勉強になりました。
本番のつもりで臨んだシンクロ模試は94点。返ってきた点数より何より、
「全体的に良くできています。合格レベルです」と書いてあったことがものすごく嬉しくて、
試験前だから持ち上げてくれているんだろうなと思いながら、携帯にお守り画像として保存しました。
そんなこんなで気付けば試験前日。
前日はゆっくりと過ごしました。さらっと復習して、疲れを残さないように早めに就寝しました。
満を持して迎えた試験当日。家族に送迎してもらい試験会場へ。
かなり早めに着いてしまったので入り口前で復習を開始。
緊張し過ぎて、某資格学校のアンケートの受験番号のところに最端製図のIDを書いてしまいました。
ごめんなさい。
座席は1番窓際の後ろから2番目。しかも後ろの人は欠席と、集中できるところでした。
例のお守り画像でモチベーションを高め、先生方の応援シールを張った道具箱を引っ張り出し、
道具を並べ、製図板を固定し、準備完了。
水分補給のための飲み物、糖分補給のための大量のチョコ玉、汚れ対策でウェットティッシュも完備していました。
さぁ試験開始と用紙をひっくり返して、真っ先に目に飛び込んできた敷地図。
去年は「共用部分…共用部分?」となっていた私ですが、絶対にあると判っていた分、
驚きより「出たなサプライズこの野郎」が全面に出てきて割と冷静だったと思います。
しかしプランが一向に纏まらない。
本番の緊張に加え、やはり見慣れない敷地に少なからず動揺していたのだと思います。
和室にシャワールームだと…?屋内車庫はいいけどこれ屋外に駐車スペース確保できなくないか?
浴室は南側…に置いたら吹抜け足りない上に子供室に入れない!等々。
今までエスキスができない!となったことがなかったので焦る焦る。
それでもパニックにならずに作業できたのは、
「保険用のプランを作って、時間がありそうならもう一度チャレンジする(意訳)」という
エスキスコードか解説か虎の巻か、(多分)どこかに書いてあった神無先生の言葉のおかげだと思います。
幸いにもエスキスや作図は割と早い方。イチかバチかともう一つプランを起こしにかかりました。
完璧よりも妥協、未完成よりも減点。とお経の如く唱えながらエスキスすること70分。
保険プランと見比べながら改善を進め、プラン的にも時間的にも何とか許容範囲内に収まりました。
そこから作図開始。
平面図、床伏図、詳細図と順調に書き進め、憎き断面図もクリアして、立面図までを書き終わったら
第1回粗探し・地雷探しの始まりです。
設計条件は死守した。面積の要求範囲内に収めた。要求室の漏れない。部屋名の誤記なし。家具もある。円は破線。
よしよし、南面できなかった子供室は合格のための落とし所だ。
苦手意識のある構造は特に念入りに。持っている知識を全投入して架構が適正であるかを確認しました。
一通りの作図・チェックを終えた時、試験時間は1時間近く残っていました。恐らく自己最速です。
余った時間は延々チェックを続けていました。時間の許す限りチェック祭り、何周したかは覚えてません。
試験問題にチェックを付け、面積を再計算し、
…今思えば、1年目の要求読込・チェック作業は全然なってなかったんですよね。
何度も目を通すでもない、要所にチェックマークを入れるでもない…あんなもん流し読みレベルと変わらない。
それと並行して、見映えの整えも行いました。
メリハリをはっきりさせ、分かり辛い設備の名称を引出したり、円の大きさや手摺の高さなんかを書いたり。
植栽にも書き込みを加え、余裕で書き込んでるかの如く見えるように。
建築を理解してますよー、要求を守ってますよー、作図能力ありますよー、と全力でアピール。
ペンを置いてくださいと言われてからは、ただひたすらに例の刷毛で払ってました。
消しカスと一緒に厄を念入りに払い落して終了。
無事終了し、緊張の糸が切れるとお腹は鳴り始め頭はガンガンに痛み出し、
5時間の疲れが一気に襲ってきました。
家に帰ってからは掲示板をチェックし、
やっちまったわーとか、あーその手があったかーとか思いながらも、
終わった事はしょうがないと半ば達観しながら他の人の感想をスクロールしていました。
ただ、気がかりは誰もが触れていた「塀」。
敷地の一部が建設予定地だから、塀の設置は道路面だけなのではとの声多数。
…要求にはないが、塀のラインは書いたな。四方共とは書いてないからセーフかアウトか…
標準解答例を見た今でもどちらが良かったのかはわかってません。
再現図の結果は87点。
やはり点数よりも、神無先生の「全体的に良くできています。私のプランとよく似てますね」のコメントにものすごーくほっとしました。
発表当日は朝からホームページひたすらリロード。
始業は9:00からなんですが、9:30まで仕事もせずにそわそわそわそわしてました。
回線の混雑にもめげず、心臓をドキドキさせながら都道府県のリンクをクリック。
一覧の中に自分の番号を見つけ、気が抜けて真っ先に突っ伏しました。
去年のことがあったので、周りの人にも番号が載ってるか確認してもらい、
やっと合格したんだと実感したんです。
興奮冷めやらぬまま即、神無先生にも報告してお祝いの言葉を頂けました。
このような経緯を経て、晴れて2級建築士を名乗ることができるようになりました。
●今後、最端製図さんを受講される方へ。
私が言うのも変な話ではありますが、受講するか迷われた時は試しにメールしてみてください。
神無先生の迅速で丁寧で的確な返信が背中を押してくれること間違いなしです。
本当に、いつ休んでいるの?採算度外視ですか?と疑問が湧くほどの懇切丁寧な対応に何度驚かされたことでしょう…
最初の、右も左もわからない時は全然楽しくなかったです。
何を求められてるのかわからないし、時間は縮まないし、添削図面は真っ赤だし…
今日はもう駄目だと思う日が何日もありました。
でも段々と、色んなことがわかってくるにつれて少しずつ変化が現れたのです。
線の意味、要求の読み解き方、アピールの方法など、納得した上で自分のものになると
製図が楽しくなって、そうすると不思議と時間も縮んできます。
あと、大きな支えになっていたのが先生方からのコメント。
何が間違っているか教えてくれたり、たまーに褒めてくれたりするのを見て、
「くそう…次こそは」とか「成長してるんだ良かった」とか、上手い具合にやる気を満たしてくれました。
何時の間にやら図面が返ってくるのが楽しみになっていました。
試験勉強って大変だと思います。
気力や時間を費やす必要があって、好きなことや色んなものを犠牲にして、
ものすごくストレス溜まります。
辛くて苦しいものだと感じてしまうと、モチベーションはすぐ下がるし下手をすると心が折れます。
でもだからこそ、気持ちを切らさずに最後まで維持できた人が合格できる試験なのだと思います。
どうか挫けず、自分に負けず、最後まで頑張ってください。
●道具について
道具は何が良いですか?という質問を見掛けた気がするので、私が使った道具とかを紹介します。
製図板はコクヨ。特にこだわりもなく、軽くて持ち運びしやすいの煽りに惹かれて購入。
シャーペンはステッドラー。幾つかのメーカーを試してみて、これが一番しっくりきたのでスタメン入りしました。
チェックマーカーはFRIXION。元々愛用していましたし、消せるのが良い。赤と青と緑を使って重複チェックをしていました。
定規は最端製図さんのテンプレート定規。神器というだけあります。合否に影響を与える必須アイテムだと思います。
市販の定規だと塞がなきゃいけない穴とかあるみたいなのですが、最端製図製テンプレートは安心して使えます。
その他には
消しゴムスティック:修正作業に適しています。最端製図さんからのプレゼントでした。
養生テープ:製図板固定用。あと定規に貼って摘まみ易くしました。
ウェットティッシュ:手の側面、定規を小まめに拭きました。図面汚れ防止対策です。
枕木:100均のワイヤーネットと結束バンド製。件のぱたぱたを真似して作りました。角度があると書き易いです。
私のような心配性の人は、備えあれば憂いなし精神で準備万端にしておくと安心して試験に臨めると思います。
●作品集について
自然と他の人の図面を見る機会がある資格学校に対し、通信講座は基本的に一人、
私が見た他の人の図面といえばネットに掲載されているものぐらいでした。
他人は他人、自分は自分と思う方いらっしゃるかもしれません。
去年の私はその口でしたが、今年の私は作品集を購入して良かったと心底思っています。
線の書き分け、メリハリのつけ方、十人十色な計画の要点、収納方法や配置などなど…役に立たない所がない。
人と違ってしまった箇所は減点の余地があるところと、自分でも実際に製図して見比べていました。
中々治せなかった「線が細いです」という指摘も、自分では太く濃く書いているつもりだったのですが、
これは細いわと納得せざるを得ませんでした。
自分では思い付きもしなかったであろうことを見つけられるというのは大きなアドバンテージだと思いました。
同じ理由で作図手法DVDも一見の価値ありです。神無先生の超ハイスピード作図。
何となく真似するだけでも恐ろしい程早くなりました。オススメです。
…この書き方だとステマみたいですが、別に回し者ではないです。
●最後に
神無先生を始めとした講師の先生方、最端生11期生の皆さまへの感謝の気持でいっぱいです。
本当にありがとうございました。
最端製図卒業生として、最端製図さんの一層のご活躍をお祈りしています。
拙い上に長い文章を最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
少しでも、これから受験される方の糧になれば幸いです。