合格体験談「海外にて勉強」 第12期生 エフ
●いきさつ
中華人民共和国。
私が合格発表の5日前まで住んでいた場所です。
中国では仕事をしていませんでしたので、勉強時間は他のどの受験者さんよりもありました。
しかし、これは当然ですが、教材も学校も現地で手に入れることはできません。
思い立ったのはちょうど去年の今頃。
暇つぶしがてら勉強していた宅建士の合格が通知された時でした。
合格の知らせに浮かれ、ネットで「合格発表」なんて単語を検索していると、
宅建士の合格発表に紛れて、二級建築士の合格発表が見えたのです。
「二級建築士」
それは、私にとって夢であり、通過点になる予定だった資格でした。
小学校の時から建物の設計に憧れ、大学も二級建築士の受験資格が取れる大学に進学しました。
しかし、いざ受験資格を持ってみると、その資格がとても遠い場所にあることが分かったのです。
初めての社会人、初めての環境。
そんな中で数年前2年間資格学校に通いました。
結果は、学科は合格できたものの、製図は最後の最後まで、自分が何を描いているのか分からないような状態で 受験していました。
結果は不合格。
「仕事が忙しかった」「学校が遠かった」
全部言い訳なのはわかっていますが、当時の私としては精いっぱい頑張りました。
しかし、結果は出ませんでした。
一度諦めてしまった資格。でも憧れの資格。
私の中で、二級建築士とはそんな認識の資格でした。
私は建築が好きです。
だから、中国での膨大な時間を二級建築士に捧げることにしたのです。
最端製図さんの事を知ったのは、実は資格学校を辞めた、学科合格から3年目の年でした。
正直な事を言うと、当時、やる気はあまりありませんでした。
ですが、学科免除の最後の年。一応何かしておこうと、この時初めて最端製図さんに連絡を入れたのです。
結果は先にも記した通り不合格。
最端製図さんの課題は未提出。
当然の結果です。合否の連絡さえ入れずに、私は最端製図さんを去りました。
海外で受験勉強、と考えた時、真っ先に浮かんだのは、お世話になった最端製図さんでした。
しかし、真っ先に却下したのも、最端製図さんでした。
どの面下げて連絡を入れるつもりだ?最端製図さんはダメダメだった私に、とても親切に教えてくれました。
その分、自分の不義理が後ろめたくてたまりませんでした。
しかし、どんなに調べ、考えても、中国で勉強できる方法は最端製図さん以外ありませんでした。
海外ならではの悩み、気になる事。色々メールで質問させてもらいました。
結婚し苗字は変わっています。メールアドレスも前回と違います。バレないだろう、と思っていました。
でも、神無先生に質問すればするほど、丁寧で親切な返答があり、ついに私は後ろめたさに耐えられなくなり、
数年前逃げ出した者だと白状したのです。
「ご事情よくわかりました。私にできることでしたら、全面的に協力させていただきます」
神無先生のお返事はこれでした。一緒に学科や製図の勉強法の案も添えてくださいました。
現金な事に、私の気持ちは神無先生のこのメールで一気に晴れ、そこからの私は完全二級建築士モードに突入 したのです。
目標は「合格」それも「しっかりと理解した上での合格」。
数年前の「とりあえず」「なんとなく」「片手間」の勉強ではなく、胸を張って「勉強をしっかりしたから合格できました」と
言えるようになりたかったのです。
●学科
学科クラブには過去問題がたくさんあります。20年分、と、教材申し込みにはありますが、
私にはもっとあったように思います。
私が勉強を開始したのは1月。学科クラブが始まってすぐです。
そして先に記載した通り、時間は誰よりもありました。そこで私は、
「講義ノートを読み、その後その項の過去問題を解く」という方法をやってみました。
他の教材は「二級建築士はじめの一歩」と、市販の「試験直前の予想問題3回分」だけですが、それで十分でした。
学科クラブの問題には、答えと一緒に解説も書いてくれてあるのでとても理解しやすいのですが、
どうしても理解できない事や、答えにたどり着けない事もありました。
その時は、掲示板で質問をし、一問ずつ、確実に進めました。
当時、掲示板が私の質問で溢れかえってしまい「良いのかしら…」と思いながらも質問しまくっていた事を思い出します。
この方法、結論から言うと、凄くキツイです。挫けそうでした。特に法規!
法規に関しては、「出てきた問題を解きながら法令集に線を引く」という方法を実践していた為、 一日1項目でヘトヘトでした。
しかし、おかげさまで「自分にとっては凄く見やすい」法令集が出来上がりました。
ちなみに、私の法令集の線の引き方は、最端製図さんのオススメ方法を基本とし、
同じ問題が出てきた場合は同じところにまた線を引いたり線を増やすというやり方です。
自然と目に付きやすくなります。
と、ここまで書いておいてなんですが、この方法は時間が十分にあったからできたものだと思っています。
ほとんどの受験生は仕事や学業、家事育児など、時間が十分にあるとは言えません。
ですから、その場合は問題を解く量を過去十年分に絞るなど、工夫が必要かもしれません。
このあたりは、神無先生に相談するのが良いと思います。
ただ、法令集は問題を解きながら作るのをオススメします。
過去に線引きをした後に問題を解く方法をやったのですが、使い難く、
結局法令集をろくに使わず暗記する羽目になりました。
これはこれで勉強にはなりましたが、法律はどんどん変わりますし、せっかく法令集を使って良い試験ですので、
確実に点を取る為にも自分の使いやすい法令集を作る事は大切だと思います。
上記は、私がやって良かった事です。
ですが、やはり全てが上手くいったわけではなく、失敗した、と思う事もありました。
それは集中力と持久力の訓練を怠った事です。
学科の試験は前半が、計画・法規。後半が構造・施工です。
私は、計画→法規。構造→施工。という順番で問題を解いていったのですが自己採点の結果は、
計画:18点 法規:19点 構造:19点 施工:13点 でした。
施工が足切ギリギリでした。問題が難しい、とは思いませんでした。
実際、採点後もう一度解いたところ他の科目と同じくらいの点数になりました。
何がいけなかったのか。
先に書いてしまいましたが集中力と持久力が施工の試験まで持たなかったのです。
これは日々の勉強で時間を気にする習慣、特に4つの科目を一気に解く練習をしなかった事が原因だと思います。
今回私は、運よくこの点数でも合格できましたが、これから勉強される方には、ある程度の基礎を学んだ後は、 時間を気にかけた勉強をすることをオススメします。
そして最後に、これは回避不可能だったのですが、試験会場の机が小さくA4サイズの法令集を置く場所に苦労しました。
色々な法令集が現在ありますが、使いやすさが同じ場合、試験会場の事も下調べして購入するのも一つの手だな、 と思いました。
●製図
他の皆さんも同じ事をおっしゃるかもしれませんが、製図は身体で覚えるのが一番だと思います。
と言っても、ただ闇雲に数を描くだけでは合格はできません。実際、数年前の私は合格できませんでした。
大切なのは「問題が求めている物を描く事」です。そしてその為に「何を描いているか理解した上で描ける事」が重要です。
当然な事のようですが、意外に難しいです。資格学校を経て最端製図さんにお世話になった事でよく分かったのですが、
資格学校に通っていた経験がある方は、問題が要求していない事まで描くように教わっている為、
「とりあえずいつも描く事を描く」という事に必死になってしまい、問題が求めている重要な部分が何処か分からず
力の入れどころがずれてしまったり、描かなくても良い所を描いている間に時間オーバーになってしまいがちです。
「何を描いているか理解していない」
私にはこの自覚がありました。資格学校に通っていた時からこの事にモヤモヤとしていましたが、
当時は「そんな細かい事を気にしている時間は無い」とも思っていました。
ですが、今回は「しっかりと理解した上での合格」が目標です。
学科同様、問題を解くまでの事前準備…製図に実際入るまでの事前準備を入念にしました。
と言っても、やる事は簡単です。
それぞれの図面の書き方を知る事。
最端製図さんの製図の講座を申し込むと色んな物が届きます。
その中に「勉強を進める順番」が入っています。その中で口酸っぱく書かれている事があるはずです。
木造の製図の場合は「伏図攻略テキストをやりましたか?」「エスキース・コードはしっかり読みましたか?」が特に。
口酸っぱく書かれているのだから当たり前ですが、これがすごく大事な事だったのだと、私は製図の勉強開始2週間で感じました。
二週間で何をしたのかという話ですが、私が行った事は、
「エスキース・コードを読み込む」「「伏図攻略テキスをやる」「ドローイング・コードを見ながらそれぞれの図面を描いてみる」。
この3つを行った後、基本課題を制限時間無し、エスキース・コード、伏図攻略テキスト、ドローイング・コードの利用は可という条件でやってみました。
ドローイング・コードの購入は任意ですが、製図初心者の方は購入をオススメします。
書き順や何を描いているのかを分かりやすく記入してくれており、とても重宝しました。
最初の一枚は2日かけてやっとできあがりましたが、次の第一課題は上記の3つの参考書を見ながらですが、
6時間30分程でできました。
自惚れだとは分かってはいますが、私はこの時点で、今までとは違い手ごたえを感じ「今年はいけるかも…!」と思えました。
第一課題の見直しをしっかりした事もありますが、実際、第二課題からは時間内に描けるようになりました。
そこから、課題ごとに挫折しそうになったり、ポカミスをしたりと色々ありましたが、
基本がしっかりしていたおかげで、そこまで大きくブレた図面を描くことが無かったと思います。
ちなみに、ここからは余談ですが、ポカミスや、小さなミスについては自分で見返しても気づきにくいです。
最端製図さんに採点して頂くにも、回数に限りがあります。
私は、対策としてメンバーズ掲示板に自分の図面を載せ、他の受講生の方々に指摘して頂きました。
また、私自身も、他の受講生の図面を見て指摘させてもらいました。
指摘してもらう事を主としている方が多かったのですが、私としては、指摘する方が数倍勉強になりました。
製図試験は減点法です。ミスを少なくする事が合格への条件だと思います。
その為には見直しが重要です。
私は、皆さんの図面を見させてもらう時、見直しのつもりで見ていました。
採点者はどこで減点をするか、どこが間違いやすいか…自分で描く図面との違いもあり、
良い部分は真似させてもらったりもしました。
見直しの練習は図面を描いた枚数しかできないと思っていましたが、おかげさまで、私は他の方の数倍できたと思います。
試験問題の再現図での私の点数は98点でした。
問題が簡単だった事もありますが、この点数も合格も、基本を忠実に守った事と、見直しの力だと思っています。
●海外に住んでいて困った事と解決策
ほとんどの方が関係ないと思いますが、私のように海外に住みながら受験しようと考えている方がいれば参考に
なるかもしれませんので私の経験を書きます。
私の場合は中華人民共和国でしたので、他の地域の方は当てはまらない事もあると思いますが、参考までに…。
- 入金ができない。
年末に帰省した際に私は入金しましたが、日本にいる身内に頼む事もできました。
そうなった場合は、最端製図さんに事前に連絡を入れるお約束をしました。
2.参考書がない。
学科は最端製図さんのネット上の講義ノートと問題で十分でした。
ただ、やはり気になって、年末に日本に戻った際に「二級建築士はじめの一歩」を買いました。
そして、試験より少し早めに日本に帰国し、予想問題集を買いました。
製図は学科試験後に日本で購入できると思います。
- 郵送物を受け取れない。
最端製図さんに相談すれば、色々案を出してもらえます。
ただ、中国の場合は、現在(2017年)、個人で物を郵送する事が出来ないので、私は学科試験の際の帰国時に受け取れるよう、
最端製図さんに相談しました。
- 受験申込や、試験に度々帰国しなければならない。
こればっかりはしょうがないです。
ですが、受験申込は一度受験履歴があり、その受験票があれば、ネットでできたと思います。
お金も時間もかかりますが「日本に帰れる!」とポジティブにとらえる事をオススメします。
- 製図板がない。
私はこれが一番心配でした。国内移動なら、飛行機を利用してもそこまで心配にならないのですが、
海外は荷物の扱いが雑です。預けたら変形して使い物にならなくなってしまうのではと。
私の場合は、日本に1つ製図版を持っていました。
この製図版を日本での練習と本番で使い、中国では中国で買った台湾製の製図版で練習をしていました。
お金はかかります。が、本番前の移動で製図版が使えなくなるのは絶対避けたかったので、この方法をとりました。
神無先生に相談し、他にも色々な案を出してもらいました。
海外居住者は一度相談し、私以外の海外居住者の選択なども教えてもらうと良いと思います。
- ネットがつながらない。
場所にもよると思いますが、現地でつながるかどうかの確認はしておいてください。
私は始めつながりませんでした。
理由としては、中国の通信規制に最端製図さんが引っかかっていたからです。
その為VPNを間にはさみつなげました。
●最後に
この一年、私は頑張りました。今は胸を張って言えます。
実は私が建築士を目指したのは先に書いた通り、小学生の時だったりします。
そこから夢を諦めず、苦手な理系の勉強をし、建築学科、しかも卒業することで二級建築士の受験資格を得られる大学に進学したのです。
ですが始めに書いたように、私は一回、この資格から目を逸らしました。
ずっとモヤモヤしていました。小学生の頃の私に顔向けできない…なんて思いも胸の奥にありました。
でも、もう、タイムマシーンができても大丈夫!
笑って小学生の自分に「建築バカは大人になっても変わらなくて建築士になっちゃったよ!」と言えます。
二級建築士を海外から受ける事、最端製図さんにお世話になる事を快く承諾し、応援してくれた主人にとても感謝しています。
良い夫を持ち、私は幸せです。
そして、私に協力してくださった最端製図のスタッフさん、一緒に勉強した受講生の皆さん、ありがとうございました。
皆さんがいなければ、私は今でもモヤモヤした気持ちのまま、二級建築士から目を逸らしていたと思います。
今度は、この資格をどう活かしていくかという段階に移ります。
タイミングの良いことに、中国での生活も先日終わりを迎えました。
後は登録手続きをして次のステップに進むだけです。
凄く楽しみです。
本当に、本当に、ありがとうございました。
2017.12.16 第12期生 エフ